BOOKS HIRO通信 第116号

『どくとるマンボウ航海記』はすべての読書のきっかけ
hiro 2024.10.04
誰でも

(1)みなさまこんばんは。

「今週の棚主日記からの抜粋」です。

1.先日SOLIDAで一日店長をなさった「精神医学文学堂」さんから、『どくとるマンボウ航海記』(中央公論社の単行本)を購入しました。懐かしい本なので、思わず「ください」と申し上げたのですが、新規開店の棚の選書の柱となりそうな本だったので、少し申し訳ないような気がしました。棚主さんからは、かまわないが読んだ感想を教えてと依頼されました。以下、そのお答えのつもりです。

この本は1960年に初版がでました。たぶん、中学生になりたてのころ読んだと思います。ベストセラーでした。船医の書いた珍しい航海記であり、書きぶりがユーモアあふれるものだったので、文明批判を含んだ苦い面もある大人向きの本ながら、子どもの私でも読めたと思います。表面的な面白さを楽しんだのはもちろんですが、パリに住んでいたという著者北杜夫の友人というT夫妻の留学生としての暮らしぶりも面白おかしくて、印象に残りました。

この「友人T」は辻邦生であることを知ったのは、その後かなりたってからです。そして二人の共通のアイドルだったトーマス・マンのことも知るようになりました。北杜夫の著作だけでなく、辻邦生やトーマス・マン、そして辻邦生の先生である森有正の著作も読むようになりました。この4人に青年期の私は心酔していたようです。

他の文学作品や、歴史上の事柄に対して、自分の考えをまとめようとするとき、この4人の著作にあらわれた物の考え方を、基準として考えるようになりました。それは半世紀たった今でも同じです。

精神医学文学堂さんの棚主ページはこちらです。他の本も読みたくなっています。

2.木曜日にRIVE GAUCHEで一日お店番をする珍しい機会に恵まれました。この機会に私の書棚に単行本を3冊搬入してきました。

『パリの手記(全一巻)』(辻邦生 上記の北杜夫との出会いも書かれています。)

『モンマルトル日記』(辻邦生)

『モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』(保苅瑞穂)

この3冊はRIVE GAUCHEでの私の棚の中心となるべき本です。皆に読んでほしいが、売れてしまうとさみしくなりそうです。その場合にはまた、どこかで調達して来ます。

(2)現在の私の棚主ページです。

来週の私のバイトスタッフ勤務は日曜日と月曜日と水曜日です。PASSAGE、SOLIDA、RIVE GAUSHE 各店舗に行きます。

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