BOOKS HIRO通信 第121号

BOOKS HIROの棚主・読書日記
hiro 2024.11.08
誰でも

(1)みなさまこんばんは

RIVE GAUCHEの棚での今週の販売記録は、2点4冊でした。

火曜日に搬入した、『パリの時(3巻セット)』( 辻邦生 )と、『遥かなノートルダム』( 森有正 )が、木曜日に旅立ちました。あっという間です。

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一方、私は秋の花粉症を発症してしまいました。頭が重くて、やむを得ずひきこもって読書三昧です。

まず、以前から読み続けていた『いつかたこぶねになる日』(小津夜景さん著 新潮文庫)を読み終えました。これはPASSAGEbisのPoétique{ポエティーク}さんから入手した本です。

最後の方で、南宋の詩人、陸游の詩「書適」を引用・翻訳したあとの評から引用します。(228ページ)

人生の長い道を歩いてきた陸游が晩年にたどりついたのは、幼い日のように本を読むことだった。それは郷愁に身をゆだねつつ、まっさらだったころの感覚をくりかえし味わう遊びだ。本の中にひろがっている、忘れられた世界の素顔と、いくども出会い直すこと。そして、世界を知る歓びとともに、夏の緑陰のような深い悲しみを、覚えた言葉の数だけはぐくむこと。

この文章は素晴らしい。今の私の目指すべき境地です。

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次に、先週から読んでいる本、『シートン動物記の世界』(藤原英司著 集英社)を読み終えました。この本の後半、中年を迎えたシートンがなおも、パリに絵を学ぶために留学したことを藤原英司は書いています(156ページ)

シートンは、その頃、パリのラテン区にある古めかしい通りに部屋を借りていた。ラテン区と言うのはパリの学生町で、ここには画学生もたくさん住んでいた。
学生と言うのは、大抵貧乏なものだ。シートンの生活も決して楽なものではなかった。しかし、シートンには希望と自信があった。自信とは、無論自分の腕ひとつで、どこででも暮らしていけると言う自信で、希望とは、自分の好きなように、絵や文章の修行をし、ますますその道に熟達していけるだろうと言うものだった。

われわれのパリにたいする憧れの、もっともな根拠がここに書かれています。RIVE GAUCHEにこの本を持っていって並べても良さそうです。

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そのRIVE GAUCHEで、火曜日に入手した本、『ロシア語だけの青春』(黒田龍之助さん著 ちくま文庫)は、面白くて2日間で一気読みしました。書棚「A la ligne」の棚主さんのおすすめ本です。

エピローグにこんな文章がありました。

講演会で外国語学習について話していた時、こんな質問が出た。
「ひたすら発音して、暗唱してと言う、ミールの方法をどう思いますか」
答えは決まっていた。

私はそれ以外に知らない。

これを読んで、私が子供の時通った、漆山終吉先生の英語塾「アルビオン英学校」をなつかしく思い出しました。黒田龍之助さんが紹介した「ミール・ロシア語研究所」のロシア語教授法と同じで、ひたすら英語を大声で音読させ、暗唱も重視していました。

来週は体調が良くなることをいのって、早めに寝ます。

(2)現在の私の棚主ページです

来週は日曜日(RIVE GAUCHE)、月曜日(SOLIDA)、火曜日(RIVE GAUCHE)でバイトスタッフ勤務です。

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