BOOKS HIRO通信 第119号

越前敏弥さんの『訳者あとがき選集』を読んで、大人向け訳のシートンを熱望中
hiro 2024.10.26
誰でも

(1)みなさまこんばんは

先日SOLIDAで一日店長をやってくださった越前敏弥さん。さすがに大人気で、ずっとお客様にかこまれていました。スタッフとしてお手伝いをしながら、さっそく、飛ぶように売れていく『訳者あとがき選集』を、私も購入しました。

待ちきれず、昼休みにPASSAGEbisで読み始めました。いろいろな訳書があると感心しつつ『オリンピア』『老人と海』などの「あとがき」を拾い読みしていたら、『シートン動物記 オオカミ王ロボほか』(角川つばさ文庫)のあとがきを見つけました。昔の『シートン動物記』(全5巻)は子供時代に熱中して読んだ本です。その新訳を出されたことを迂闊にも今まで知りませんでした。

懐かしさのあまり、越前敏弥さんにシートンの翻訳についてうかがってみました。いまのところ角川つばさ文庫が3冊あるのですが、今後は大人向けのシートンの翻訳をなさりたいというお気持ちがあるそうです。(確かに『訳者あとがき選集』のなかにそうおかきになっています。)

これは楽しみです。大人向けの訳本が出たらすぐに読んでみたいと思いました。翌日からさっそく、その「予習」を始めました。評論社から1950年代に出た内山賢次訳の『シートン全集』の15巻と16巻が、シートンの自伝です。手元にないので、国会図書館デジタルコレクションで読んでみました。

シートンの生涯(1860-1946)はとても面白いです。以下は私の覚書です。

感じやすい病気がちの開拓時代カナダの子供時代。博物学者を夢見つつ、父親のすすめで画家をめざす。もちろん絵の題材は鳥や野生動物たち。当時の未開拓の新大陸には驚くほど豊富な生物相があったらしい。ロンドンに留学し、絵を学び続けるが、年少ながら大英博物館に自由に出入りすることを許される。体をこわして、北米に戻り療養後兄たちと開拓に従事。そのかたわら鳥や野生動物の観察・研究を続ける。自然への深い理解に基づいた描画の才能を活かして費用を稼ぎ、パリに行って絵や博物学の研鑽を続ける。北米に戻った頃はたくましい青年となり、開拓の現場に立ち会いながら、野生生物の実際的研究を進め、もちろん鳥類学をはじめとする論文も書く。後年には著作もよく売れ、同時に全米を講演してまわり、相当な利益を生み出した。

この間ずっとシートンはスケッチと観察記録を含む日記を書いていました。『オオカミ王ロボほか』のシートンの著作はこの日記をもとに書かれました。動物たちの生態が驚くほどリアルに書かれています。開拓が進む中、絶滅していく動物たちへの挽歌とも言えます。

自伝を読み終えたので、シートン夫人の著書『燃えさかる火のそばで : シートン伝』 (ハヤカワノンフィクション)も読みはじめました。

すっかりシートン熱がぶり返しました。越前敏弥さんの大人向けシートン、はやく読みたいです。もちろん、角川つばさ文庫もすぐに読みます。

(2)現在の私の棚主ページです

SOLIDA

RIVE GAUCHE

来週は日曜日(PASSAGEでブックフェス特別体制)、水曜日(RIVE GAUCHE)でバイトスタッフ勤務です。とても楽しみです。

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