BOOKS HIRO通信 第155号
(1)みなさまこんにちは
RIVE GAUCHEの「La Bibliothèque de Nuit」さんの書棚から、『フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者』(草思社文庫)を購入して読みました。
プラトン、アリストテレス、デカルト、スピノザ、カント、ヘーゲル、キルケゴール、ニーチェ、フロイト、サルトル、以上の西欧哲学者を解説しています。大学入学資格試験・バカレロアの受験参考書だそうです。
サルトルの章の最後、177ページを引用すると、
「サルトルの言いたいことはわかるだろう、自由は与えられるものではなく、「状況の中で」勝ち取るものだ。」とあります。
自由の証明は、みずから選択すること、そしてそれにより他者にみずからの行為をさらし、評価されることであるとも著者は述べています。
このような哲学の「勉強」は日本では大学に入ってからすぐしているかもしれません。少なくとも自分の経験ではそうです。わからないながらも、サルトル全集を何冊か買って、そのうちの数冊を読んだこともありました。確かにサルトルは社会運動に「参加」することを勧めていたような気がします。これは当時の学生にとって切実な問題でした。
昨年新刊で買った『実存主義者のカフェにて――自由と存在とアプリコットカクテルを』(紀伊國屋書店)を、途中まで読み積ん読状態で机に置いていたのでこれを読みきることにしました。サラ・ベイクウェル、英国在住のこの本の著者は他にモンテーニュ伝も書いているらしいです。(モンテーニュファンの私はこれも読んでみたい。)
『実存主義者のカフェにて』はノンフィクションです。1933年モンパルナスのカフェで生まれたという、実存主義思想を物語風(講談風)に生き生きと書いています。サルトル、ボーボワール、メルロ=ポンティなどが主役で、脇役はハイデッガー、フッサール、カミュ、シモーヌ・ヴェイユなどです。
彼らはカフェで議論をし、飲んでいるアプリコットカクテルを「実存」の題材として、実存主義思想を深めていく。難解とも言われる、彼らの哲学思想を、彼らの人となりを活写することでわかりやすく説明しようとしています。この目論見は特に、サルトルや、メルロ=ポンティについて、かなり成功しています。
この2冊の著者たちの本の書き方の共通点は以下のような事と思います。つまり、哲学は難解なものではなく、自らの行動を律する、実用的なものであることを、哲学者たちの「生き方」を語ることにより読者にわからせようとするのです。
『実存主義者のカフェにて』には、詳細な、索引、参考文献リスト、注釈が付録として付いています。本文を読みおえたいまですが、このまま右から左への売却はしにくいです。こう考えると本体価格3800円は高くない、むしろ安いと言えます。
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また来週。
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