BOOKS HIRO通信 第94号

PASSAGE SOLIDA連帯 その先は…
hiro 2024.04.26
誰でも

(1)みなさまこんばんは。

PASSAGE by ALL REVIEWSのプロデューサー鹿島茂さんの書かれた記事が、ALL REVIEWSホームページに掲載されました。

内容豊富なこの記事「共同型(シェア型)書店〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の誕生と成長」の中から、私のような「一般の本好きの人」に関する記述を少し引用します。

予想をはるかに超えて希望者があつまったのは、「自己表現としての書店」を経営してみたいという一般の本好きの人々であった。棚賃を払っても、自分の「推し」の本が売れることに強い喜びを感じる無類の本好きがこれほど多くいたとは驚きであった。何ごとも蓋を開けてみなければわからないものである。
(中略)さらなる驚きは、こうした本好きの棚主たちが相互に連絡を取り合って濃密なコミュニティーを形成したことだった。本好きの棚主たちは、人生において初めて「同類」に出会った喜びから互いに情報交換したりSNSで連絡を取り合ったりして同好会的コミュニティーをつくり、より多くの「推し本」を売るにはどうしたらいいか日々工夫しあっているのである。

棚賃よりも「推し本」を売る楽しみがまさること、濃密なコミュニティーの形成が店頭で行われていること、PASSAGE bisでの交流など、思い当たることばかりです。特に、本を搬入した場合には「OWNERS」カードがスタッフから手渡されるので、PASSAGE bisで香り高いコーヒーを味わいながら他の棚主さんたちと選書や棚作り、なにより読書の喜びを語り合うのは、確かにプライスレスの楽しみです。楽しみだけでなく、ここから今後多くのものが創造されていくだろうと思うと楽しいです。個々の連帯の生み出す創造ですね。

このとき、すぐ思いうかぶのはパリのシェイクスピア書店という場から生まれた数々の文学的な達成です。ジョイスの『ユリシーズ』(シェイクスピア書店刊行)がその白眉でしょう。また、ヘミングウェイは、その作家としての修行時代にシェイクスピア書店店主のシルヴィア・ビーチから受けた恩恵を『移動祝祭日』に懐かしそうに書いています。これはPASSAGEに関わる方には必読書と言えるでしょう。

なお、PASSAGEには「Books 移動祝祭日」さんという棚もあります。棚主さんは第2のシルヴィア・ビーチとなられるかもしれません。

鹿島茂さんのおっしゃっている「カフェ文化」を知るのに私が読んだのは『カフェから時代は創られる』です。PASSAGEの「ひづる書店」さんで棚主の痕跡本を買いました。他の書棚でも何回も売れており、PASSAGEではこの本は隠れたベストセラーかもしれません。

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さて、鹿島茂さんの記事は以下で結ばれています。

3 号店は3 月1 日にグランドオープンした。ちなみに、PASSAGE SOLIDAという店名のSOLIDAはフランス語のSOLIDARITE(連帯)の略語。全国の本好き、書店、出版社とも連帯して紙の本を扱う書店の火を灯し続けるためには連帯しかないという思いを込めての命名である。(中略)最後にひと言。いずれ、PASSAGEの裏側で機能しているシステムを希望者にレンタルする予定である(PASSAGE公式サイトの「問い合わせ」から、私の次男である由井緑郎さんにご連絡を)。そうなれば、全国にPASSAGEネットワークが作られるだろう。こう御期待である。

すでに、棚主の連帯(SOLIDA)は達成されつつあります。この棚主の連帯の輪はずっと広がることでしょう。そして共同書店を含む全国の「書店」(今はまだ形がないものや、他の業態のものを含めて)どうしの連帯を棚主の力が推進するのもそう遠くないと思っています。

(2)現在の私の棚主ページです。

来週の私のバイトスタッフ勤務は、日曜日(SOLIDA)、月曜日(PASSAGE)、水曜日(PASSAGE)、金曜日(PASSAGE)です。

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