BOOKS HIRO通信 第136号

『植草甚一コラージュ日記 東京1976』と『古本屋の誕生:東京古書店史』の神保町
hiro 2025.02.22
誰でも

(1)みなさまこんばんは

PASSAGEの棚「もっこす舎」さんから、『植草甚一コラージュ日記 東京1976』(平凡社ライブラリー)を買いました。

同じくPASSAGEの「岸リューリ」さんの棚から、『古本屋の誕生:東京古書店史』(鹿島茂著 草思社)を購入し、さっそくどちらにも目を通しました。

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『植草甚一コラージュ日記 東京1976』は「植草甚一スクラップブック」の月報に連載された日記をまとめたものです。植草甚一自作の素敵なコラージュも入っており、何と言っても手書きで端正に清書された日記本文が素晴らしい。

1976年の前半、晩年の植草甚一が3度目のアメリカ滞在に出かける直前の日記です。3年後に71歳でなくなるのですが、そうとは全く思えない、執筆と読書および本の入手にいそしむ姿が描かれています。本人は大真面目に忙しがっているのですが、全体としてユーモアが漂ってくる、巧まざる「高級」テクニックがすごい日記です。そしてここで挙げられている本のほとんどを私は手に入れようと努力しました。その証拠があります。

私は当時会社に勤めはじめて2年目だったのですが、発行されはじめた「植草甚一スクラップブック」を読みつつ、月報のこの日記も愛読していました。愛読が嵩じて、この日記のマネをして、ノートに万年筆でその日の出来事を書き綴ったものです。内容としては、仕事やプライベートなことはごく少量で、買った本の題名と価格と本屋の名前をレシートを貼り付けながら全部記録しました。観た映画の題名や入場券の半券もあります。そして当時趣味としていたスキーについて、行ったスキー場と往復の日時の記録の部分には、列車の乗車券やリフト券も貼り付けてあります。

下手な感想などより、これらの「記録」のほうが、思い出をたどるには適しているようです。当時の自分が今の自分の前に現れて来るような気がしています。植草甚一のマネをして良かったと、思っています。

なお、1976年の植草甚一の日記と私の日記をならべて見ていると、どうも神保町や銀座の本屋ですれ違っているような気がしています。少なくとも同じ空気は吸っています。

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『古本屋の誕生:東京古書店史』は奥付によると発行日は2025年2月21日、今日(いや今24時を過ぎたので昨日)です。しかし、私は2月16日にPASSAGEで買いました。鹿島茂さんのサインが入っているのですが、その日付は2月15日です。うれしいフライング購入です。

内容の殆どはこれから読むのですが(スミマセン)、あとがきから読む派の私は後ろから読みはじめました。あとがきの直前の「古書業界の未来図」から引用します。

神田神保町の古書店街を守ろうとする当事者たちの意志の力が弱ければ、制度的工夫も外圧もなんの力にもなりえない。(中略)神田神保町の古書店街を守る究極のパワー、それは神田神保町の古書店主であることの誇りなのであり、それ以外にはありえない。これさえあれば、あとはどうにかなるのである。

一棚店主にもこの「誇り」を持つようにと言ってくださっているのです。

素晴らしい!
頑張ります。

(2)現在の私の棚主ページです

来週の予定。
日曜日RIVE GAUCHE、月曜日、水曜日がPASSAGE、木曜日がSOLIDAでバイトスタッフ勤務です。珍しい4日間勤務!

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