BOOKS HIRO通信 第153号

「太陽」(1996年5月号 開高健特集)を読み、万年筆派に復帰
hiro 2025.06.21
誰でも

(1)みなさまこんにちは

PASSAGE SOLIDAの「本棚の向こう側」さんの棚から「太陽」(1996.5)を数日前に購入し、帰りの電車の中ですぐ読み始めました。

開高健の追悼記事をいくつか読みました。加賀乙彦も司馬遼太郎も(こちらは弔辞)遺作「珠玉」を褒めています。アクアマリーンやガーネットやムーンストーンといった珠玉を人づてに入手して携帯し、慈しむ習慣が、開高健の晩年にはあったらしいのですが、そのことを題材とした小説です。これを読んでいなかったので、夜中に入手できる電子版全集で購入して読んでみました。

往年の名作のテーマをまるで珠玉のごとく慈しみながら、もう一度じっくりと描いた小説は確かに良いです。例えば「闇」シリーズを読んでいなくても、この作品は美しいし、もし読んでいれば、珠玉のように転がり輝く言葉の素晴らしさにもっと酔うことができるでしょう。

電子版でもこの作品の良さは十分に味わえたと思いますが、単行本の『珠玉』も欲しくなりました。これを書きながら入手の手配をしました。ついでに文庫本も買ってしまいました。

この雑誌「太陽」の記事や収録写真の中に開高健の万年筆(晩年はモンブラン)の話が出てきます。写真のキャプションには「なぜかインクはパイロットだった」と書いてあります。はて?

ともかく私は自分の「隠れ家書斎」に、以前還暦祝いで妻に買ってもらったペリカンを持ち込み、手持ちのパイロットのインクを入れて久しぶりに文章を書いてみました。すらすら書けます。漢字もかなり思い出してかけます。うがったことを言うと、万年筆のインクフローが非常に良いからでしょう。国産の非常に良質・安価なパイロットの水性インク(Blue)の性質も手伝っていると思います。

万年筆を使って書いていると、キーボード使用中よりも、思考の流れがダイレクトに、紙面に気持ち良く伝わっていきます。しばらく文章はこれで書いてみます。文字変換の煩わしさが執筆中にないと言うのが気持ちの良い原因の一つです。珠玉のような文章が書けるともっといいのですが。それは別問題。

デジタル技術をすべて捨てられるわけではありません。文章の執筆はアナログで行い、それらのアーカイブはデジタルで、あるいはブログなどへの投稿はもちろんデジタルで行わざるを得ません。手書き原稿の写真をアップするのは恥ずかしいし、アーカイヴとしての利便性がなくなります。原稿を万年筆で書いて、それを読み上げながらスマートフォンの音声入力でデジタル化する。こんなやり方を今試しています。

(2)現在の私の棚主ページです

SOLIDA

RIVE GAUCHE

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また来週。

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