BOOKS HIRO通信 第101号
(1)みなさまこんばんは
6月6日にSOLIDA2Fで行われた月刊ALL REVIEWSの対談、「仲俣 暁生×鹿島 茂、仲俣 暁生『橋本治「再読」ノート』(破船房)を読む」をビデオ・アーカイブで視聴しました。(私はALL REVIEWS友の会の会員でもあるので自由に視聴できます。)
私の受け取った限りでは、対談の主な話題は、「個人でできる(分業不要な)軽出版を通じて、見えてくる本の出版と流通の近未来」でした。100ページ前後の出版物は個人の作業・裁量で簡単にできるし、経費は先行してpdfを販売することでまかなえて、あとは置いてくれる本屋を探すだけ。という中俣さんの今回の成功経験談は説得力がありました。すでに数百部は売れていて利益も上がっているそうです。
売る場所はPASSAGE/SOLIDAでいいじゃんという話も出ていました。現実にこの本は、両店の書棚「破船房」にも置かれていて、店頭でもオンラインでも良く売れています。共同書店は軽出版を販売することの最適解とも言えます。
書籍出版・流通業においてもやっと個人の復権がなされようとしているのだと考えると嬉しくなりました。江戸・明治時代には個人(商店)が出版から販売まで一手に行うのは当たり前のことだった、というお話もありました。来年の大河ドラマもこの辺を取り上げてくれるかしらというお話も。
中俣さんの今回の本は橋本治がテーマです。私もpdfで購入し、物理本も特価で購入して読みました。橋本治はなんとなく読んではいたのですが、深く広く読んだことはありませんでした。この本をとっかかりにして、橋本治をたくさん読もうと思います。その意味で私にはありがたい本でした。
鹿島茂さんが対談途中で話題を提供した「とめてくれるなおっかさん背中 (せな) のいちょうが泣いている男東大どこへ行く」という橋本治のキャッチコピーは、学生(東大ではありませんが)当時私もよく目にしました。このあとに起きた悲劇は、われわれノンポリ組がセクトに蹂躙されて個人の自由追求への希求を失ったということです。結局、企業の中に取り込まれてしまったわけで、そこで失った個人の自由への希求を取り戻したいと痛切に思い始めました。私は定年後に、詳しく言うと「林住期」を過ぎて「遊行期」になったいま、やっとそのための動きを再開しているところと言えます。第2の青春でしょうか。
私は、読者としての自由を取り戻すにはどうするかを考えてはあれこれ実践しているのですが、中俣さんの今回の行動はとても心強く感じます。この動きに呼応する形でもっとたくさんの個々の読者が、自分の読書の自由を拡大する方向で動くべきだろうと思います。読書のためには書店や図書館やインターネットをフル活用する努力が必要です。
読書の自由に関して、昨日思いついたことは、多少経済的に無理をしても読みたい新刊本を買って読むべきである。読んだら売ればいいじゃん、売れたらその金で他の本が買える、ということです。
早速新刊書『世界目録をつくろうとした男 奇才ポール・オトレと情報化時代の誕生』(みすず書房 4,950円)を買いました。今夜から読み始めます。面白かったらBOOKS_HIROの書棚に出しますので、これを読んだ方ぜひ買ってください。私はその金で次の面白い本を買いますので。
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このBOOKS HIRO通信は前号で100号となりました。
お祝いの言葉もいただきました。ありがとうございます。
続けられたのはひとえにこれを毎号読んでくださっている皆様のおかげです。
これからもよろしくお願いします。
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来週の私のバイトスタッフ勤務は、日曜日、月曜日と水曜日です。いずれもPASSAGEです。
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