BOOKS HIRO 通信 第145号
(1)みなさまこんばんは
『モンテーニュの書斎 「エセー」を読む』(保苅瑞穂著 講談社)を楽しく再読しました。読み返すたびに教えられることが多い本のひとつになりつつあります。そこは森有正の『バビロンの流れのほとりにて』に似ています。
引用したいところが今回15ヵ所ほどあったのですが、最後の1ヵ所のみ引用してみます。(397ページ)
人間は、自分たちの日常生活について、一番肝腎なことに気付いていない。わたしたちは毎日自分がやっている無意味とも思われる平凡な営みの意味に気付いていないのだ。モンテーニュは日常の日々を生きることが偉業さえも含めたあらゆる人間の営みの根本にあることを示すために、日常生活をいい加減にしておいて、それよりもっと有意義に見える仕事をしてみたいと考える私たち人間の浅はかさを指摘して叱咤する。
この本を読んでいる途中で、『Album Montaigne』を「澤田直の本棚」さんから購入しました。絵が中心の本なので、絵を眺めながらキャプションを読むことで全体を読んだ気になります。この機会に『Les Essais』の原書も再度入手したいです。(以前持っていたものはPASSAGE RIVE GAUCHEで売れてしまいました。)
保苅瑞穂の文章は自然に私の頭に入ってきて、しかも心に響いてきます。次は随筆集『ポール・ヴァレリーの遺言 わたしたちはどんな時代を生きているのか?』をこれからすぐ読むつもりです。そして、ヴァレリーの『カイエ』は今まで手にとりませんでしたが、ヴァレリーが日々の思索を長年にわたり書き続けたものと今回知り、これはまず近隣の図書館で借りてきました。気に入って読めるようならぜひ自分で入手して読むつもりです。50年かけて261冊のノートに毎日早朝に書いたというすごいものらしいです。
この本(『モンテーニュの書斎 「エセー」を読む』)のおかげで、今年後半の大きな読書目標ができました。昨年秋にPASSAGE RIVE GAUCHEに、二冊持っていたこの本のうちの一冊を並べて売れたことが、保苅瑞穂を読み直すきっかけです。棚主をやっていると、読書範囲が広くなり、かつ読書体験が深まるのを感じます。
そして、老境に達しようとしている私にとっては、棚主をやること自体が毎日を生き生きと生きる力をも与えてくれそうです。
(2)現在の私の棚主ページです
SOLIDA
RIVE GAUCHE
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また来週。
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