BOOKS HIRO通信 第133号

トムテと須賀敦子が私の読書天国に降臨しました
hiro 2025.02.01
誰でも

(1)みなさまこんばんは

PASSAGEスタッフでもある小声書房さんが出された「小声文庫」の最初の本は、『トムテを探して』です。直接小声書房さんに注文し、今週はじめに届いたので読みました。

読む前は、トムテって誰だろう、小声さんのことかしら、などと思っていたのですが、実は違っていました。読んでのお楽しみですが、私の場合子供の頃に楽しく読んだ『ニルスのふしぎな旅』の内容を思い出しました。懐かしい!

『トムテを探して』は、小声書房を思わせる静かな書店のなかで繰り広げられる暖かく感動的な物語でした。とても爽やかな読後感です。小声文庫では続編も期待したいところです。モデルになった北本市の小声書房には、読んだ皆さんはすぐに行って見たくなることでしょう。

小声書房さんのホームページのアドレスはこちらです。

なお、『トムテを探して』はPASSAGEでも少しだけ販売しています。

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さて、西荻窪の「にわとり文庫」も小声書房同様に見逃せない夕イプの古書店です。引っ越したばかりの親戚の家を訪ねたあと、近所にこのにわとり文庫をみかけて入ってみました。

帰宅時間が迫っていたのですが、これだけは欲しいなと思い、『KAWADE夢ムック文藝別冊 [追悼特集] 須賀敦子』(1998年刊)を買いました。

帰宅後読んでみましたが、鹿島茂さんや大竹昭子さん、森まゆみさん、四方田犬彦さん、柴田元幸さん、堀江敏幸さんを含むたくさんの人々が須賀敦子の死を悼む文章を寄せています。

一番印象に残った文章は、イタリア文学者の藤谷道夫さんの「須賀敦子先生の購読会」でした。学生だった藤谷道夫さんに最初は個人教授でダンテの『神曲』を購読してあげたとのこと。藤谷さんの資質を一瞬にして見抜いたからでしょうが、ともかく一学生からの大層な願いをかなえるために、長い時間をかけて大きな精力を使う須賀敦子は、教育者の鑑だったと思えます。

「須賀敦子先生の購読会」の一部を引用してみます。

研究室を訪れるたびに、私が受けていたのは、いつも励ましやお誉めの言葉でした。先生が勘違いをされて、自分を誉めていらっしゃるとわかるのですが、それでも、いつも尊重され、勇気づけられていると、才能のない人間でも、持てる力を発揮するようになるものです。こうして、いつしか私も一回の購読で一歌まで読めるようになり、自分の進むべき道を知るようになったのです。

若き後輩を信頼し本当の意味で指導する須賀敦子の姿にうたれます。振り返って自分は後輩にこのように接することが出来ていたかと、忸怩たる思いにかられます。

このあと、私はPASSAGEの「ソラノトリ」さんの棚から購入した文庫版全集で須賀敦子を再びよみはじめました。もちろん、『コルシア書店の仲間たち』からです。


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SOLIDA

RIVE GAUCHE

来週の予定。日曜日と月曜日、水曜日、RIVE GAUCHEとPASSAGE、SOLIDAでバイトスタッフ勤務です。

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