BOOKS HIRO通信 第202号
(1)みなさまこんにちは
アシモフ(1920‐1992)はいろいろな意味で好きな作家である。
振り返ってみる。まずは彼の「科学解説本」を読む日々。大学受験時 『化学の歴史』(河出書房 1967年刊)を読んだのが最初だろう。化学史上の偉大な学者の事績紹介を主にした達意の化学史。私の場合は受験の前の知識の整理体系化に役立った、というよりとても面白かった。いまでも読み返すことがある。
『空想自然科学入門』(早川書房 1965年刊)(科学研究の専門性と一般性の関連をうまく語るので学部学生向けだった?)などの、サイエンス・ノンフィクションを読み続ける日々が続いた。アシモフの著書は500冊以上あるが、一般向け科学解説書やノンフィクションは半数を超えるかも。楽しく読めるのが特長。
このようなノンフィクションの執筆の様子が面白いのだが、これは以下で読める。
山高昭 訳『アシモフ自伝』2 /上,早川書房,1985.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12225378 (参照 2026-06-05)
これによると、アシモフは人名事典を役立てたとある。百科事典もそろえた書斎にこもってひたすら執筆。
もっと純粋に楽しめたのはその後読んだサイエンス・フィクションだった。
私が21歳ごろ。『銀河帝国の興亡 1~3』が創元推理文庫(1968年刊)から出ていたのを読みふけった。アシモフはこれらの作品を『ファウンデーション』シリーズとして、戦後の中断期をはさんで、その後4冊(これは日本では早川書房の単行本で出た)、計7冊を執筆。私もそれらを長年かけて読んだ。同時並行で、ロボットものの作品もいくつか読んだ。どれも面白い。人類の過去と、(遠い)未来を考えさせる。もちろん、かくあるべきという結論は出ないが、とにかく読ませる。そしてこのような、世界に対する広い視野を持つと、日常の特に仕事上の瑣末事にはあまり重きを置かなくなる。
作家との付き合いが長くなるとその自伝や日記を読みたくなる。『アシモフ自伝』の4巻そろいを、高円寺の駅前の古本店で見つけて喜んで購入。70歳ごろ。
『ファウンデーション』シリーズの最初の構想が立ったとき(1941年8月1日)の記述を読んで悦に入る。若きアシモフは鬼編集者キャンベルに焚き付けられて『ファウンデーション』シリーズの執筆にとりかかる。これは以下で読めるのでぜひ。
山高昭 訳『アシモフ自伝』1 /上,早川書房,1983.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12225486 (参照 2026-06-05)
『アシモフ自伝』は日記にかぎりなく近い。自伝以降のアシモフの様子はその後の日記(というより活字になったブログ)『I.ASIMOV』だが、これは英語で読めた。読みながら生身の老人としてアシモフを捉えることができる。アシモフは書くことがこよなく好きだった。旅行などもってのほか。一年365日12時間以上を書き続けて、ほぼ書きながら死んだ。
ごく最近。77歳になった私はAppleTVで 『ファウンデーション』ビデオシリーズ(未完)を見た。脚色のためキャラクター設定の大幅な相違があるが、『ファウンデーション』シリーズのテーマは何かを改めて考えるきっかけとなった。『SF百科図鑑』(*)を参照すると、未来の政治形態は星系の王国をまとめる「銀河帝国」であって、共和国・民主政ではコミュニケーション遅延という物理的原因でありえないところがつらい。ローマ帝国・元帝国の呪縛。人類がこのような何千年、何万年の歴史をどう生きるだろうかをアシモフは追求する。
(*)ブライアン・アッシュ 編『SF百科図鑑』,サンリオ,1978.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12443736 (参照 2026-06-05)
これからもずっとアシモフを読んでいくだろう。かつアシモフすべてを読み終えることは私の一生ではありえないだろう。
今日『ファウンデーション』シリーズの新訳版(創元SF文庫)を3冊購入した。読むのが楽しみである。

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