BOOKS HIRO通信 第204号

『魔法の石板ーージョルジュ・ペロスの方へ』(堀江敏幸 白水社刊)の読後感
hiro 2026.06.20
誰でも

(1)みなさまこんにちは

ジョルジュ・ペロスって誰なのかはひとまず置いて、『魔法の石板ーージョルジュ・ペロスの方へ』を読みはじめた(これは正解と思う)。

詩人であるらしい?ペロスの住んだ町への旅行記めいたはじまり。

外山滋比古(『読みの整理学』)の言う「アルファ読み」をする。つまり未知のことをさぐりながら読むこと。ちなみに既知のことをすらすらと楽しく読むのが「ベータ読み」というらしい。この本は私にとってはアルファ読みをせざるを得ないもの。劇的な展開もあまりない。堀江敏幸らしい話の運びなのだが、これも手伝ってゆっくりと読んでいく。

そもそもペロスは人嫌いらしい。著者はこのような人々の話を書くのがおすきらしい。前作『二月のつぎに七月が』もそうだった。このため目の覚めるような展開はない。このような本を読むのは最初は大変なのだが、我慢していろいろ考えながら読んでいると「読む」ことに慣れてくる。慣れてくると不思議に心地よくなってくる。たとえは良くないが、スルメを噛むようなもので、長いこと噛んで(読んで)いると、少しずつ滋味がしみでてくる。

だんだんペロスの人となりが、直接感じ取れるような気さえしてくる。これが著者の目指したところなのだろう。素晴らしい力技。2週間以上かけて読み終えた。

ところで、「魔法の石板」ってなんだろう、読み終わってから記述を探しなおした。ペロスが病中で筆圧がないので、やむを得ず入院中に使った子供用メモ器具らしい。

昔を思い出すと、子供向け雑誌の付録でついていた気もする。書いたあと、表面の蝋引き紙を剥がすと文字が消える、と264ページにでてくる。

ペロスという詩人の作風にピッタリのメモ用具かもしれない。言葉の断片を書き続ける。書くことにより、書きつけたことが頭に入る。その意味で、「書かれたもの」よりその場で「書く」ことに意味がある。こんな書き方もあるのか。

さきほど、夕飯の買い物に行き、スーパーの上階にある100円ショップで探し、現代の「魔法の石板」を買ってきた。「電子メモパッド」なるもの。300円。か細い線が書ける。ボタンを押すと書いたものが全部消える。ペロスの使った「魔法の石板」のほうが趣はありそうだが、とりあえずメモ用に使ってみることにした。

最後に引用をしておく。

「書くことは。ぼくにとっての「できること」なのだ。(中略)書くことはひとつの特権だと思う。貧しき者の特権。」

286ページ

ジョルジュ・ペロスって誰なのかを調べ始めた。調べたことのブログも書いてみた(もっと調べることで、これから発展するだろう)。ペロスはなかなかおもしろそうな詩人だ。

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また来週。

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