BOOKS HIRO通信 第137号

『ヒトラーのウィーン』(中島義道著 ちくま文庫)を読んでPASSAGEの素晴らしさを再認識
hiro 2025.02.28
誰でも

(1)みなさまこんばんは

RIVE GAUCHEのtsundokuさんの棚から『ヒトラーのウィーン』(中島義道著 ちくま文庫)を購入しました。なお、少し前に『ハプスブルク物語』(池内紀・南川三治郎著 新潮社)も同じ棚から購入して読みました。


以前このニュースレターでご紹介した、『ウィーン、わが夢の街 フロイトと熊楠』(平山令二著 鷗出版)を読んで、第一次世界大戦ごろの中欧に興味を持ったからです。佐藤亜紀さんの「歴史小説の技法講座」に触発された面もあります。これからもこの読書テーマは追いかけていくと思います。


若き日のヒトラー、画家を夢見たヒトラーが、なぜ独裁者への道を辿ったのかを知るためのヒントが『ヒトラーのウィーン』に書かれているのでしょうが、一回読んだだけでは、当たり前ながらなかなか理解できかねます。ともかく、印象に残ったところを一箇所だけあげると、徴兵検査からあちこちに逃げ回っていたヒトラーがついにザルツブルグで検査を受け、虚弱体質により「武装訓練不適応」の判定を受けるというところがあります。逃げる過程でいろいろと当局に「嘘」をついているのですが、検査中も巧妙な「嘘」をついたのではないかという気が私はします。せっかく逃げることができたのに、数カ月後にはヒトラーは義勇兵として第一次世界大戦に参加します。なぜ?

トーマス・マンの『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』に、やはり徴兵検査の描写があり、そこではフェーリクス・クルルが天才的な「病気の演技」を行って、兵役には不適格というお墨付きを軍医からもらうのです。これとヒトラーの「嘘」はよく似ています。お話の中にしかフェーリクス・クルルみたいな変な人物は出てこないと思っていたので、びっくりですが、徴兵検査をごまかしによりうまくすり抜けた人は、実際には少しはいたのでしょう。その心理または病理を考えていくとヒトラーのその後の行動もわかってくるのではないでしょうか。

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『古本屋の誕生 東京古書店史』は一週間かけて読みおえました。最終的には「創意工夫する古本屋」の未来は明るいということで、先週のニュースレターの印象とかわりません。

読んでいて知った知識、いまのすずらん通り付近はその当時表神保町と呼ばれており、靖国通りのあたりは裏神保町と呼ばれていたのが興味深かったです。PASSAGEやSOLIDA近辺にいまもある古書店の歴史を知ることができたのも、良かったと思います。

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来週も本をいろいろ読んでみたいですね。読書の世界をどんどんひろげてくれるPASSAGEという場は素晴らしいと改めて思います。

(2)現在の私の棚主ページです

来週の予定。

日曜日、水曜日RIVE GAUCHE、火曜日がPASSAGEでバイトスタッフ勤務です。

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