BOOKS HIRO通信 第123号
(1)みなさまこんばんは
『ウィーン、わが夢の街――フロイトと熊楠』(平山令二さん著)を、SOLIDAの書棚「ヒマラヤ」から購入して読みました。元大学教授の書かれた本なので難しいかと思いましたが、その予想は良い意味で裏切られました。
なんと、途轍もなく面白いのです。私が今年読んだ本のベストと言っても良いです。
この本は、フィクションです。南方熊楠(1867年(慶応3年) - 1941年(昭和16年))が1900年にロンドンからウィーンに行き、フロイト(1856年 - 1939年)に会って意気投合するという筋書きです。
フランツ・ヨーゼフ一世 (オーストリア皇帝)も良いおじいさんとして出てきます。帝国経営に悩む老皇帝の夢解きをして元気づけるフロイトを、熊楠が助けます。このあと、現実世界は2つの世界大戦を経験することになりますし、フロイトも熊楠も不遇の中で生涯をおえることになります。1900年のウィーンはまだ夢のように美しく文化の華咲く都会でした。その夢のウィーンで、まだ若いフロイトも熊楠も大活躍するのです。
最終部分から印象的な一節を引用します。(511ページです)
ホテルへの道を黙って私たちは歩いて行った。突然、熊楠が何か思いついた。「この何日間、わしらが体験した事は、わしらがウィーンを夢見ていたようだったが、そうでは無いのだ。ウィーンがわしらを夢見ていたんだ。わしらもウィーンの夢の一部だったのだ。」熊楠の独り言のようだった。しかし、熊楠の言った奇妙な言葉は、私もさっきから感じていたことだった。
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みなさまに、この本をおすすめします。この本はSOLIDAの棚「ヒマラヤ」で購入できます。棚主ページはこちら。
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