BOOKS HIRO通信 第187号

最期の先まで読書を続ける勇気が湧く、『シークレット・オブ・シークレッツ』
hiro 2026.02.21
誰でも

(1)みなさまこんにちは

『シークレット・オブ・シークレッツ』(ダン・ブラウン著、 越前敏弥訳、KADOKAWA刊)を読んだ。2月11日にPASSAGEで一日店長をなさった訳者から、宛書付きでサインを頂いて購入したもの。

何を書いてもネタバレになりそうだが、なるべくそうならずに、年寄り読者の私の関心を強くひいた話題を書いてみる。

最後の方の引用をする。作品中の重要登場人物・「純粋知性学者」キャサリン博士の言葉。

(略)中には刺激的な考えも含まれていて、それは死が幻想である可能性が高い……意識は体が死んだ後も生きつづけると言う考えです。もしそれが本当で、それを証明できるなら、数世代のうちに人間の精神は、今とは全く違う前提――結局のところ、死は大して恐ろしいものではないと言う前提に立って機能するようになる……」キャサリンの声には情熱がこもっていた。「考えてみてください。これほどまでに人間を破壊的な行為に走らせている全人類最大の恐怖が……消滅するんです。そのパラダイムシフトに達するまで、戦争で自滅したり地球を破壊したりせずに持ちこたえられれば、人類は哲学的に大きな転機を迎え、その先に想像もできないほど、平和な未来があってもおかしくない」 

下巻386ページ

精神は死なない、かえって死により肉体から解放されてもっと自由になるという考え方、これは年配者にとっては心の休まるものだ。そして、いい年をしていつまでも本を読んでいるなんて……という圧力からも自由になれる。精神が無に帰さないとすれば、最期まで本を読み続ける勇気がわいてくる。最晩年まで本を手放さなかった堀辰雄やトーマス・マンや永井荷風の気持ちに寄り添うことができる。

もうひとつ引用する。

「仮想世界に没入すると」キャサリンは言った。「いろいろな意味で、体外離脱体験に匹敵する非局在型の経験ができるの――肉体から切り離され、無重力状態になりながらも、あらゆるものとつながる。…… 

下巻397ページ

インターネットやSNSなどのプラス面をうまく捉えている。1990年頃にインターネットを始めたときには、皆このような感情を持ち、高揚していたと思う。現在はSNSの悪影響のみがクローズアップされるが、本来はもっと暖かく自由な世界への扉としてあるべきなのだ。

はじめてダン・ブラウンを読んだが、訳者からのおすすめに従い、この最新作を読んで良かったと思う。三日前に読み終わったが、次のダン・ブラウン本として『オリジン』を選びこれもあっという間に読んでしまった。これまた面白かった。そして、広範なテーマを取り扱うダン・ブラウンに感心するとともにその作品を見事に翻訳される訳者に感嘆する。

さて次は何を読むか思案中。

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また来週。

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